ココアバター
カテゴリ:チョコレート
ココアバターはカカオバター、カカオ脂ともいい、主にカカオリカー(カカオマスを乾燥させる前の液状のもの)から圧搾して製造したカカオ豆の脂肪分をいう。ココアバターは、カカオ豆の中に40〜50%含まれているもので、主にチョコレートなどの菓子、薬品、軟膏、化粧品の原料として利用される。カカオリカーから圧搾したばかりのココアバターは、独特な匂いがあり薄黄色だが、その後、脱臭処理を行うことで、白く、無味無臭なココアバターを作り出している。
ココアバターは主にチョコレートの原料となる。まろやかさを出すため、チョコレートに加えられているが、高価なため安いチョコレートには植物油を代用されていることも多い。また、オレイン酸を多く含んでいるところから保湿オイルとしてもよく使われる。固形油脂なので、常温では固形だが、30~35℃で溶解する。人の体温で自然に溶けてしまう。
ココアバターは、チョコレートのテンパリングの際にも使われることがある。
代用油脂
ココアバターは価格が高く、天候の変化などによっても供給の変動がある。そのため、ココアバターの代用として、植物性油脂が代用油脂としてよく利用されている。代用油脂には、チョコレート製品の乾きを早くするために油脂の固化が速いこと、製品の口どけを良くするためにココアバターと同等な融点、融解性状であることが求められる。多く使われているのは、パーム核油を硬くして固体化したものである。
代用油脂で作られたチョコレートはテンパリングが不要なことから製菓ではコーティングやエンローバーなどに使われている。ただ、ココアバターに比べて固化が遅く、やや柔らかい特徴を持つため、水素添加などの自然界にない添加物を使って調整している。
更新日:2018年12月11日
作成日:2018年09月07日
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作成日:2018年09月07日
パティシエWikiは現場で働くパティシエのみなさんの協力のもと制作されています。
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関係項目
• チョコレートの種類
※本ページ記載の各管理温度については、一般的とされているもの。 メーカーや品種によって若干異なる場合があるため、パッケージを確認の上、調温を行う。 スイートチョコレート スイートチョコレートは製菓に使う一般的なチョコレートで、カカオマスが40~60%のものをいう。 ビターチョコレートやダークチョコレートはミルク(乳製品)が入らない、カカオマスが50%以上のチョコレートのことをいい、色が濃く、甘みがなく苦い。 ビターチョコレートとダークチョコレートは同じものを指すが、日本の製菓業界では一般にダークチョコレートということが多い。 成分としてはカカオ分が55~80%くらいのもので、カカオマス、カカオバター、砂糖が入っており、乳成分は入っていない。カカオ分が多くなればなるほど苦味は増す。 溶解温度は50~55℃、冷却温度は27~29℃、保温温度31~32℃である。 ミルクチョコレート スイート・ビターチョコレートに対し、乳成分を含んだチョコレートをミルクチョコレートという。マイルドな味わいで、苦味は弱く、カカオ分は少なめである。 成分としてはカカオ分が31~38%くらいのもので、カカオマス、カカオバター、砂糖が入っており、乳成分や粉乳が入っているものを指す。乳成分が入る分、カカオ分の割合は少ない。 溶解温度は45~50℃、冷却温度は26~28℃、保温温度29~30℃である。 ホワイトチョコレート ホワイトチョコレートはカカオマスが入らないため、チョコレートそのものの色が白い。そのため、乳成分が多く含まれており、苦味がほとんどない。 成分としてはカカオマスは0%だが、30%前後のカカオバターと砂糖に加え、乳成分や粉乳が入っている。カカオ本来の風味はほとんどない。 他のチョコレートに加え油脂分が多く、温度に影響されやすいため、テンパリングはより慎重に行う。 溶解温度は40~45℃、冷却温度は26~27℃、保温温度28~29℃である。 ブロンドチョコレート ブロンドチョコレートはヴァローナ社が開発したチョコレートで、ブラック・ミルク・ホワイトチョコレートに次ぐ第4のチョコレートと呼ばれている。名前通り、色がブロンドのキャラメル色をしている。焙炉(ほいろ)に入れたまま時間が経ってしまったホワイトチョコレートが、焦げてブロンズ色になったことが、開発のきっかけとなったそう。ホワイトチョコレートをキャラメリゼすることで生まれたチョコレートである。 有塩バターを加えて作られているため、ビスケットやキャラメルに似た風味の、塩気が感じられる味わい。 ルビーチョコレート ルビーチョコレートはカレボー社が開発したチョコレートで、ルビーカカオ豆から作られたチョコレートである。ルビーチョコレートが開発されるまでは、赤い色のチョコレートといえば、着色料かフルーツフレーバーが使用されていたため、素材そのものから天然のルビー色にが生まれる、という点で注目された。 ルビーチョコレートが第4のチョコレートと呼ばれることもある。 味はフルーティーで、かすかに酸味が感じられるベリー系の味わいとも表現される。
• チョコレートの特性・構造
チョコレートは、カカオマスや砂糖、粉乳、油脂であるカカオバターなどを撹拌して製造されるもの。チョコレートの口どけを実現させるために、これらの原材料の粒子を大きさを微粒子化して、均等に分散させて親和性を出す必要がある。そのため、原料チョコレートの製造工程であるカカオマスの微粉砕や精練作業、そしてツヤをだすためのテンパリング(調温)などの、チョコレートならではの工程精度が重要となってくる。 チョコレートと水 器具に水分が残っていたり湯煎の水が入ってしまったりすると、チョコレートはぼろぼろに固まって、どれだけ熱を入れても溶けなくなる。これは、水がチョコレート中のカカオバターの油脂と反発するため。カカオバターと反発した水は吸水性の高い砂糖に吸収されて強く結び付けられ、粘度が生まれてかたまりになってしまう。→分離 適正管理温度 チョコレートを扱う作業をする際は、室温が約18〜23℃、湿度は約45〜55%が適正な環境である。湿度が高くなるとチョコレートは固まるのに時間がかかり、テンパリングを行ってもツヤよく仕上がらなくなる。 保管場所の適正は、温度約15〜18℃、湿度約45〜55%。冷蔵庫で保管すると湿気を吸ったり、ブルームが出たりして品質が低下してしまうことがある。 チョコレートの溶かし方 チョコレートは高温で加熱すると分離してしまうため、直火ではなく湯煎で加熱する。構造的に粘度が高いチョコレートは、鍋に入れてそのまま溶かしてしまうと局所的に温度が上がり、すぐに焦げてしまう。 高い熱を入れると結晶構造が崩壊し、油脂であるカカオバターと水溶成分が分離を起こす。また、高い温度の湯煎で一気にチョコレートを溶かした場合も同じ現象が起きやすくなるため、ゆっくりと加熱した方が、良い状態を保つことができる。 一般的にミルク・ホワイトチョコレートはスイートチョコレートよりも低い温度で溶かす。 溶解温度は、各チョコレートの油脂分の量や種類によって異なる。ミルク・ホワイトチョコレートを高い温度で溶かした場合、乳成分が高まりもろもろとした状態になってしまうことがある。 製品やメーカーごとによっても違ってくるため、製品パッケージに溶解温度や冷却温度の記載があるものは、記載に沿って調温を行う。 →チョコレートの種類 チョコレートの結晶化とテンパリング 湯煎などで一度溶かしたチョコレートは、そのまま固めようとしても、元のような光沢にはならない。これはもともとあったチョコレートの原料微粒子の結晶構造が、温度をあげて溶かしたことによって崩れてしまったため。再びツヤを出すためには、テンパリングを行って結晶構造を整える必要がある。テンパリングを行わないと、うまく固まらなかったり、光沢が出ずに表面に成分が浮き出て食感が悪くなる。 ブルーム チョコレートを適切な温度で扱わなかった場合、表面が白っぽい粉やまだら模様が浮き出てくることがある。この現象をブルームと呼ぶ。ブルームにはファットブルームとシュガーブルームの二種類がある。 チョコレートの乳化 溶かしたチョコレートに生クリームを加えて混ぜると、乳化が起こり、分離せずに混ざる。これはチョコレートに含まれている乳化剤(レシチンなど)が生クリームに含まれる乳脂肪球を覆い、チョコレートの油分と直接触れずに成分が均一に分散したまま混ざるため。