
アガー
カテゴリ:その他加工品

精製されたカラギーナンには三つのタイプがあり、それぞれ性質が異なることから、それらの組み合わせと他の増粘剤(ガム類)との組み合わせで性質の異なったアガーが作られている。
弾力、口当たり、冷凍耐性があるものなどいろいろな種類があるので、作りたい物に合わせて選ぶとよい。
ゼラチンや寒天と比べて透明度が高く、光沢があるため、材料の色をそのまま製品に活かすことができる。
また、ゼラチンの様に独特な香りはなく無味無臭なので、他の材料の風味に影響しない。
アガーのカロリーは100gで340キロカロリー程。アガーの中でカラギーナンはカロリーはなく、他の添加物でカロリーが発生している。
扱い
アガー単独だとダマになりやすいので、砂糖と粉体混合し、よく混ぜて液体に加えて70〜80℃以上で煮溶かす。砂糖を使用しない製品の場合は、ダマにならないよう液体を攪拌しながら少しずつにアガーを加え、均一に混ぜ合わせてから加熱する。
沸騰させてしまうと固まりが悪くなるので注意する。また、常温で固まってしまうため、手早く作業する。
固まりきるまで静かに置いておかないと、しっかりと固まらない原因になる。
性質
タンパク質(特にミルクカゼイン)、ミネラル(カルシウムなど)があるときは急激に強くゲル化する。酸にやや弱く、PH3.5以上ないとゲル化しない。
30〜70°Cで固まるが、一度固まると常温では溶けないので、持ち帰り用の製品にも安心して使える。
凝固温度より5〜10°C高い温度になると溶け出す。また、いったん溶けた物をもう一度冷やすと完全に分離する。
離水しやすい性質がある。アガーは一度固まった状態から形状が崩れることで離水が起こる。バットに流したゼリーをカットした場合も離水が始まる。
また、口に入れた時に形状が崩れて離水が始まるので、その特性を活かして果汁の多いフルーツをかじった時のような他の瑞々しさを演出することもできる。
ゼラチンとアガーで同量の液体を固めた場合、アガーの方が固く仕上がる傾向がある。ゼラチンの代用として使う場合は少量で試作し、適量を確認してから作るとよい。
カラギーナン(ゲル化剤)
カラギーナン【仏:Carraghénane】は、紅藻類のツノマタ、スギノリ由来の多糖類(食物繊維)である。カッパ型、イオタ型、ラムダ型の三種の性質の異なる成分がある。この組み合わせや、比率を調整してさまざまな特徴を持つアガーが作られている。
カッパ型
最も硬く固まる性質があり、多用されている。しかし、カッパ型のみでは固まり方が不安定になるので、ローカスビーンガムやグルコマンナンなどのガム類と併用することで、弾力ある食感を作り出している。
たんぱく質(カゼイン)によって液体が固まるという性質は、このタイプに由来する。
イオタ型
粘りや弾力があり、ジャムの様に柔らかく固まる。単体で使われることはなく、少量を用いて離水を防いだりするのに使われる。
ラムダ型
水に溶かすと粘りが出る程度で、ゼリーを固める凝固剤には使えない。主にアイスクリームなどの増粘剤として利用されている。
凝固する仕組み
カラギーナンの基本構造は、多数のガラクトースという単糖類とその誘導体が細長い鎖状に並んだ物。熱水の中にあると分子の活動が活発なので、液体の中を自由に動いている。温度が下がると徐々に動きが悪くなり、ガラクトース同士で引き合うようになる。
鎖状のガラクトースが繋がると、細かい網目状の構造を形成し、その隙間に大量の水分を抱え込める様になる。ローカストビーンガムを併用することで弾力が出る。
更新日:2018年12月11日
作成日:2018年09月12日
更新日:2018年12月11日
作成日:2018年09月12日
パティシエWikiは現場で働くパティシエのみなさんの協力のもと制作されています。
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関係項目
• アガー
冷菓を固める凝固剤の一種。紅藻類のツノマタ、スギノリ由来の多糖類(食物繊維)であるカラギーナンと、マメ科の種子の抽出物のローカストビーンガムなどを合わせた物。見た目は白い粉末。主にゼリーに使用される。常温で固まり始め、しっかりと固まると寒天とゼラチンの間くらいのフルフルした独特の食感になる。海外では以前から広く利用されており、近年では日本でも使われる様になってきている。 精製されたカラギーナンには三つのタイプがあり、それぞれ性質が異なることから、それらの組み合わせと他の増粘剤(ガム類)との組み合わせで性質の異なったアガーが作られている。 弾力、口当たり、冷凍耐性があるものなどいろいろな種類があるので、作りたい物に合わせて選ぶとよい。 ゼラチンや寒天と比べて透明度が高く、光沢があるため、材料の色をそのまま製品に活かすことができる。 また、ゼラチンの様に独特な香りはなく無味無臭なので、他の材料の風味に影響しない。 アガーのカロリーは100gで340キロカロリー程。アガーの中でカラギーナンはカロリーはなく、他の添加物でカロリーが発生している。 扱い アガー単独だとダマになりやすいので、砂糖と粉体混合し、よく混ぜて液体に加えて70〜80℃以上で煮溶かす。 砂糖を使用しない製品の場合は、ダマにならないよう液体を攪拌しながら少しずつにアガーを加え、均一に混ぜ合わせてから加熱する。 沸騰させてしまうと固まりが悪くなるので注意する。また、常温で固まってしまうため、手早く作業する。 固まりきるまで静かに置いておかないと、しっかりと固まらない原因になる。 性質 タンパク質(特にミルクカゼイン)、ミネラル(カルシウムなど)があるときは急激に強くゲル化する。 酸にやや弱く、PH3.5以上ないとゲル化しない。 30〜70°Cで固まるが、一度固まると常温では溶けないので、持ち帰り用の製品にも安心して使える。 凝固温度より5〜10°C高い温度になると溶け出す。また、いったん溶けた物をもう一度冷やすと完全に分離する。 離水しやすい性質がある。アガーは一度固まった状態から形状が崩れることで離水が起こる。バットに流したゼリーをカットした場合も離水が始まる。 また、口に入れた時に形状が崩れて離水が始まるので、その特性を活かして果汁の多いフルーツをかじった時のような他の瑞々しさを演出することもできる。 ゼラチンとアガーで同量の液体を固めた場合、アガーの方が固く仕上がる傾向がある。ゼラチンの代用として使う場合は少量で試作し、適量を確認してから作るとよい。 カラギーナン(ゲル化剤) カラギーナン【仏:Carraghénane】は、紅藻類のツノマタ、スギノリ由来の多糖類(食物繊維)である。 カッパ型、イオタ型、ラムダ型の三種の性質の異なる成分がある。この組み合わせや、比率を調整してさまざまな特徴を持つアガーが作られている。 カッパ型 最も硬く固まる性質があり、多用されている。 しかし、カッパ型のみでは固まり方が不安定になるので、ローカスビーンガムやグルコマンナンなどのガム類と併用することで、弾力ある食感を作り出している。 たんぱく質(カゼイン)によって液体が固まるという性質は、このタイプに由来する。 イオタ型 粘りや弾力があり、ジャムの様に柔らかく固まる。 単体で使われることはなく、少量を用いて離水を防いだりするのに使われる。 ラムダ型 水に溶かすと粘りが出る程度で、ゼリーを固める凝固剤には使えない。 主にアイスクリームなどの増粘剤として利用されている。 凝固する仕組み カラギーナンの基本構造は、多数のガラクトースという単糖類とその誘導体が細長い鎖状に並んだ物。 熱水の中にあると分子の活動が活発なので、液体の中を自由に動いている。温度が下がると徐々に動きが悪くなり、ガラクトース同士で引き合うようになる。 鎖状のガラクトースが繋がると、細かい網目状の構造を形成し、その隙間に大量の水分を抱え込める様になる。ローカストビーンガムを併用することで弾力が出る。
• 寒天(凝固剤)
寒天(仏:agar-agar) 冷菓を固める凝固剤の一種。杏仁豆腐や水羊羹などの和菓子作りで使われている。 寒天を使用した製品は弾力や粘りがなく、独特のもろい口当たりと喉越しの良さが特徴的。 テングサ、オゴノリなどの紅藻類から抽出した多糖類(食物繊維)が主成分。 白色で形状は粉末、棒状、糸状の三種類ある。凝固力が強く、わずかな量で多くの液体を固めることができる。 消化されないためカロリーはなく、食物繊維が豊富なのでダイエット食としても知られている。 扱い 寒天には粉末寒天、角寒天、糸寒天の三種の形状がある。 粉末寒天 ふやかす手間がなく、スーパーなどで簡単に手に入る。 粉末寒天は常温の水に加えてから火にかける。寒天が沈殿するので混ぜながら溶かしていく。煮立ったら静かに煮立つ程度の火加減にして、2分ほど煮る。 角寒天 伝統的な製法で作られていて、風味が豊か。 粉末寒天、糸寒天と比べると柔らかめの仕上がりになる。 よく洗ってから水につけてふやかし、水気をしぼってから使う。戻す水をお湯に変えると早く戻る。 煮溶かす場合は水から加えるか、水を沸騰させたところにちぎって加える。 混ぜながら加熱し、固まりが消えて透明感が出るまで煮る。 どの形状の寒天も、溶解温度は90〜100°Cなので、液体を沸騰させて煮溶かすこと。 糸寒天 粉末寒天、角寒天と比べると、透明感があり、繊細な口あたり。 ふやかしてそのままサラダやスープに使われることもある。 ふやかして煮溶かすまでの方法は角寒天と同様である。 性質 酸に弱く、PH4.5以上ないと固まらない。これは、ゼラチンのように酸で凝固力が低下するのではなく、加水分解が起こるため。 寒天に酸味の強い果汁を混ぜ込みたい場合は、まずは寒天を十分に煮溶かしておいて、粗熱を取った上で手早く果汁を混ぜ込む様にするか、寒天の量を少し増やす。 固めたい物と合わせたら粗熱を取り型に流し込む。30〜40°Cの常温で固まるので、粗熱を取ってからは手早く作業する。 他の凝固剤に比べて離水しやすいので、砂糖を多く加えて保水力を高めるとよい。 固まったものを再度溶かし固めても同じように固まるという性質がある。冷凍はできない。 製品にしてからの寒天の溶解温度は70°C程で、常温でも安定した状態を保つことができる。 凝固する仕組み 寒天の基本構造は、多数のガラクトースという単糖類とその誘導体が細長い鎖状に並んだ物。熱水の中にあると分子の活動が活発なので、液体の中を自由に動いている。 温度が下がると徐々に動きが悪くなり、ガラクトース同士で引き合うようになる。鎖状のガラクトースが繋がると細かい網目状の構造を形成し、その隙間に大量の水分を抱え込める様になる。