
リキュール(混成酒)
カテゴリ:酒類
混成酒
リキュールは蒸留酒に果実やハーブを加えて香味をつけ、砂糖やシロップ、着色料を加えた混成酒のことで、菓子の風味づけやカクテルの材料になる。
リキュールの歴史
もともとリキュールは薬酒として作られ、11世紀頃に錬金術師によって作られた。生命の水と呼ばれ重宝され、リキュールとして研究開発された。13世紀頃には薬草の成分としてレモンやバラ、オレンジフラワーなどを加えるようになる。当時は嗜好品としてよりも薬としての役割が強く、リキュールづくりに薬草や香草が多く用いられた。リキュールが嗜好品として使われるようになったのは15世紀に入ってからである。アジアから香辛料が伝わるようになり、リキュールにも用いられるようになった。近代に入り、医学の進歩と共に、リキュールは薬から嗜好品へと変貌していった。リキュールの種類
リキュールは、大きく分けて4種類に分類される。薬草・香草系
もとは薬草から始まったリキュールだが、今は加工技術が進歩し、どんどん新しいリキュールが誕生している。香草・薬草・スパイスの類を主原料としたリキュールは、古くからあるリキュールで薬の役割を担っていた。例:アニゼット など
果実系
果実を主原料とし、果肉・果皮・果汁を使用しており、現在種類・製造量ともに最も多い部類となる。風味が良いため製菓にはこのリキュールがよく使われる。例:グランマルニエ(オレンジキュラソー)・コアントロー
ナッツ・種子系
コーヒーなどの豆や果実の種子を主原料としている。こちらも甘味の強いものが多いため、製菓でよく使われるリキュールである。例:アマレット、カルーア など
その他
近代に入って新しく開発されたもので、卵やクリーム、ヨーグルトといった乳製品やたんぱく質を使ったリキュールである。例:ラムチャタ など
製造方法
リキュールには様々な製法がある。一般には香味原料から成分の抽出し、配合、熟成、仕上げという順番で作られる。まずはベースのなる蒸留酒を決める。この時、癖のあるものにするか少ないものにするか、2種類以上の蒸留酒を混ぜたものにするかなどで仕上がりが変わってくる。
主な方法として、「蒸留法」「浸漬法」「エッセンス法」「パーコレーション法」の4つがあり、場合によってはこれらを組み合わせることもある。
蒸留法
ベースになる蒸留酒または水と香味原料を混合させたものを、蒸留して香味成分だけを残す方法で、高級なリキュールを作る時にこの製法がよく取られる。にごりのないきれいなリキュールが作れる。ただ、加熱して行うため、繊細な香りを残したいものや果実などの香味原料だと変質してしまうため、この製法は向かない。浸漬法
古くからリキュール作りに行われてきた製法で蒸留させない混成酒である。冷浸法と温浸法2種類があり、冷浸法は梅酒、果実酒のようにベースの蒸留酒に香味原料をそのまま漬けこむ製法である。一方、温浸法は、お湯に香味原料を漬け込み、お湯が冷めてからベースの蒸留酒を加える製法である。エッセンス法
天然または人工のエッセンスオイルをベースの蒸留酒に入れて香りをつける製法である。他の製法と併用して行える。パーコレーション法
ベースの蒸留酒または水に、香味原料を循環させて香りや味を抽出する。加熱しないので、繊細な香味原料を使用して成分の抽出するときに使う方法である。これらの方法で作られた原酒をもとに、さらに香味液を加えるものもある。更新日:2018年12月11日
作成日:2018年09月11日
更新日:2018年12月11日
作成日:2018年09月11日
パティシエWikiは現場で働くパティシエのみなさんの協力のもと制作されています。
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関係項目
• 蒸留酒
蒸留酒はスピリッツ(spirit)とも呼ばれ、蒸留して作った酒を指す。世界中に様々な製法で作られたたくさんの種類の蒸留酒がある。蒸留することでアルコール度数の高いものを作ることができるため、アルコール度数が高い酒が多いのも特徴である。蒸留後に加水した場合でも蒸留酒に分類するため、水などを加えることで、アルコール度数を大きく落とすことも可能である。世界各地に、地域に応じた様々な蒸留酒が存在しており、世界四大スピリッツは「ジン」「ウオッカ」「ラム」「テキーラ」といわれている。 製造方法 蒸留酒は水とアルコールの沸点の違いを利用して作られる。アルコールは水よりも沸点が高いため、水より先に気化する。この性質を生かして、気化したアルコールを集めて再び冷やし、液体に戻すことで、アルコール度の高い酒を作ることができる。蒸留には「単式蒸留器」や「連続式蒸留器」などを用いる。 単式蒸留器は蒸留する度に溶液を入れ、蒸留が終了したら溶液を排出するという方式で、アルコール度数は低くなるが発酵によって生まれた風味が残るという利点がある。 連続式蒸留器での蒸留は、何度も蒸留を繰り返し、決まったアルコール度数に近づける。アルコール度数は高くなるが、蒸留を繰り返すことで発酵時にできた成分が除去されてしまい、風味が残りにくくなるという欠点もある。 酒造りにはアルコール発酵が必要だが、実際にはアルコール発酵だけでつくれるのはアルコール度数が16%~20%の醸造酒が限界で、これ以上濃度を上げると発酵に使われる酵母自体が死滅する。そこで、さらにアルコール度数が高い酒を作るため、醸造酒を蒸留させ、エタノールを濃縮した酒が蒸留酒だ。すでに、紀元前4世紀から紀元前3世紀頃にメソポタミア遺跡の中に蒸留器が出土しており、古くから蒸留酒は作られていた。中世には生命の水と呼ばれる酒が出回り、錬金術師によって蒸留酒の技術が確立された。日本では、タイ米を麹にした泡盛がもっとも古い蒸留酒だとされている。 蒸留酒は蒸留したあとに貯蔵し、熟成する。蒸留すぐは飲用に向かないものも多く、時間をかけて熟成することで、香りや味に変化が生まれる。熟成には陶器や金属容器が用いられるのが一般的だが、木製容器などの自然素材の容器を使用することで木の香りや色を酒にうつすということも行われている。 主要な蒸留酒 ウイスキー カルヴァドス キルシュワッサー ラム酒
• 醸造酒
醸造(じょうぞう)酒は、酵母により原料をアルコール発酵させて作られた酒を指す。アルコール発酵させたまま蒸させないため、アルコール度数は低い酒になる。 最も代表的な醸造酒は、ワイン、ビール、日本酒で、西欧諸国は果実を発酵させて造る酒が、欧州から中東、アフリカ大陸にかけては穀物の種子を発芽させた酒が、日本を含む東アジア一帯は麹を使った酒が伝統的に作られていた。 醸造酒の種類と製造方法 醸造酒は大きく分けて、「単発酵酒」と「複発酵酒」に分けることができる。 単発酵酒 酵母を加えてアルコール発酵させる酒で、酵母の栄養となる糖分が原料に含まれているものが該当する。例えばワイン(ブドウ酒)、シードル(リンゴ酒)、馬乳酒などである。 複発酵酒 デンプン質を最初に糖に変えたあと、アルコール発酵させるお酒で、原料が米や麦などの穀類の場合などに該当する。 方法は「単行複発酵酒」と「並行複発酵酒」の2種類に分けられる。単行複発酵酒はビールのように穀物を麦芽に変えてデンプンを糖化した後に発酵させる方法を言う。並行複発酵酒は日本酒のようにデンプンを糊化してコウジカビなどで糖化する時に同時にアルコール発酵をさせる方法をいう。