
ミキサー
カテゴリ:機械

容器の中に刃のついた羽根が高速で回転することで、材料が混ぜ合わさる。
製菓におけるミキサーとは、メランジュールや業務用ミキサーのことを指す。
製菓におけるミキサーのボウルの容量は、製菓用卓上ミキサー(メランジュール)の場合4〜5リットル程度、業務用ミキサーの場合は20クォート〜40クォートが一般的。
(※1クォート=約1リットル)
日本ではフードプロセッサーやブレンダー、ハンドミキサーの総称がミキサーと呼ばれ、海外ではブレンダーと呼ぶことが多い。イギリスではミキサーといえば泡立て器のことになる。
近年のミキサーには攪拌するだけでなく、加熱できる機能を備えているものもあり、スープなど温かいものを作れるものもある。
同じ目的のものにハンドミキサーやハンドブレンダーがあるが、こちらはスティック型になっていて、容器が付いておらず、直接鍋やボウルなどに押し付けて撹拌することができる。
ハンドブレンダーは、洋菓子製造の際にもソースやグラサージュのツヤ出しを目的として使用されることがある。
メランジュール[仏:Mélangeur]/(製菓用卓上ミキサー)
メランジュールとは、卓上ミキサーのことを言う。電気の力で、生地やクリームを混ぜたり、こねたり、泡立てたりと様々な用途で使用することができる。アタッチメントである羽根を付け替えて、用途に合わせて幅広く使うことができる。このミキサーがあると、手で混ぜる行程をすべて簡略化することができるため、作業時間の短縮にも繋がる。また、メランジュールは高速に混ぜられるという点が特徴で、誰が作っても比較的仕上がりが均一でや品質のよいものが作りやすい。メランジュールでないとうまく作れない製品もあり、特にイタリアンメレンゲなどは高速に混ぜないと熱でメレンゲが固まってしまうため、メランジュールで作る必要がある。→イタリアンメレンゲ(ムラング・イタリエンヌ)
使用上の注意点
羽根が高速に回転しているので、材料を加えるときに飛び散りに気を付ける必要がある。混ぜる材料の状態や作る製品によって、速度は調整しながら使用する。材料を加えるときには速度を落としたり、いったん電源を切ったりしながら入れると飛び散りを抑えられる。生地など、ある程度の硬さや粘度のあるものを混ぜる際はボウルの内側の壁に生地がつくため、仕上がりの状態にムラが出ないように、へらなどで綺麗に周りを落としながら作業を行う必要がある。
メランジュールを使うときには、扱う材料の最小単位と最大単位に注意する必要がある。材料が少なすぎると空回りしてうまく回らないことがあり、材料が多すぎても飛び散ったりうまく混ざらないことがある。
アタッチメント(羽根)の種類
フエ【仏:fouet】、ホイッパー
泡立て器やピーターと呼ばれるもので、複数のワイヤーを束にして丸くまとめた形をしており、ボウルの内側に当てながら空気を含ませながら混ぜる場合に適した形状となっている。生地やクリームを泡立てる時に使う。
ワイヤーの数が多いものの方が泡立てるのに適しており、ワイヤーの数が少ないものの方が固いものを混ぜるのに適している。
フィユ【仏:fouille】、パレット
主にパイ生地などすり混ぜるための羽根をいう。空気を含ませないで混ぜるものに適している。
クロシェ【仏:crochet】、フック
主にパンの生地などの粘りや硬さのある生地を混ぜる時に使う羽根をいう。構造上生地を混ぜる先端がモーターの近くになく、生地の温度がモーター熱で上がるのを防げるため、温度変化に影響する生地などを捏ねる時に適している。また、空気を含ませずに混ぜることができるという特徴があるため、マドレーヌやプリンなど泡立てず混ぜ合わせたい生地にも適している。
更新日:2018年12月11日
作成日:2018年09月13日
更新日:2018年12月11日
作成日:2018年09月13日
パティシエWikiは現場で働くパティシエのみなさんの協力のもと制作されています。
パティシエWikiは現場で働くパティシエのみなさんの
協力のもと制作されています。
関係項目
• クレーム・シャンティイ
クレーム・シャンティイ【仏:Crème chantilly】 生クリームに砂糖を加えて泡立てたもの。 一般的に8%程の砂糖が加えられている。 砂糖を入れずに泡立てたものはクレーム・フエテ【仏:Crème fouettee】という。
• グルテン
小麦粉のタンパク質であるグルテニンとグリアジンが変質したものをグルテンという。グルテンは水を粉に加え、練ると現れ、弾力性と粘り気がある。 グルテンにはグルテニンとグリアジンという2種類のタンパク質があり、この2つが絡み合って形成される。 練れば練るほどグルテンがたくさん出てくる。家で例えるならグルテンは柱のような存在で、生地作りにおいて骨格形成の働きがある。スポンジ生地はグルテンの力で形が整い、パンはグルテンの力で膨らみ、うどんにコシが出るのもグルテンの作用である。 グルテンの量と質 小麦粉の種類によって含まれるタンパク質の量と性質が異なり、「薄力粉」「中力粉」「強力粉」の3種類にわかれている。→小麦粉の種類 薄力粉は、軟質小麦を原料とする小麦粉。タンパク質の割合は小麦粉の中で一番少なく8.5%以下。粉の特徴はきめが細かく、しっとりとしていて握ると塊ができる。 強力粉は、硬質小麦を原料に作られている。タンパク質の割合が11.5%以上の小麦粉を強力粉と呼び、タンパク質の含有量が小麦粉の中で一番多い。粉の特徴はきめが粗くさらさらしていて、打ち粉に使われていたりする。 強力粉は薄力粉よりタンパク質量が多いためグルテン形成量も多く、弾力と粘り気が強い。 グルテンの作用 パン生地への影響 パンをつくる場合、小麦粉他材料と水を加えて捏ねると、軟らかく弾力がある生地になる。 捏ねることでグルテンが形成され、生地を伸ばすと薄い膜のようになり、網目で細い繊維状になる。 焼成の際にオーブンで熱が加わるとイーストがガスを発生させ、膨張して体積がさらに大きくなり、よくふわふわのパンに仕上がっていく。 生地の中心温度が95~97℃に上がった際、形成されたグルテンの網目状組織は熱で変性して固くなるため、パン中にしっかりした骨組みができて冷えてもその形を保てる。でんぷんが壁、グルテンが柱の役割を果たしている。 パイ生地への影響 パイ生地は、練り合わせたり、麺棒でのばしたりした後には、必ず「生地を休ませる」という工程が入る。 練り合わせたばかりの生地はグルテンにより弾性が強まり伸ばしにくくなったり、焼成の際に縮みが起こったりする。伸ばした直後のグルテンが作用したままの生地は使うことができない。生地のコシを作っているグルテンのタンパク質の粘弾性は、生地を休ませている間に変化し、ゆるまっていく。 練り合わせた生地や麺棒でのばしたばかりの生地は、グルテンの構造が無理な力で引きのばしたような状態になっている。そのため、力を加えて無理に生地をのばそうとしても、元の状態に戻ろうとする力が強く、非常にのばしにくかったり成形しにくい。 しかし、この生地を冷蔵庫でしばらく冷やして休ませるとグルテンによる弾力がだんだん弱くなり、のばしやすくなっていく。寝かしている間にグルテンの網目構造無理な力のかかっている部分が切れ、ほぐれ、構造全体に余裕ができてくるので伸ばしやすく加工しやすくなる。 グルテンに影響する副材料、添加剤 食塩はグルテンのコシを強くする性質を持っている。パン作りにおいては食塩は重要なもので、全体がしっかり締まって、弾力がありダレない。 食塩を入れないと、発酵させている間に生地がダレてベタベタした仕上がりになってしまう。 食塩の量が多すぎると、パン酵母(イースト)の発酵が抑えられ、生地が膨らまなくなることもある。 サラダ油などの液状油はグルテンの無理な結合を減らしたり、グルテンと他の成分との接触をなめらかにしたりする役割がある。液状油を加えた生地は、生地全体が非常に軟らかくなり、薄く伸ばしやすい。 また、レモン汁や酢などはグルテニンとグリアジンを溶けやすくし、グルテンがやわらくなり生地が伸びやすくなる。 アルコールなどもグリアジンを溶けやすくし、グルテンを柔らかくする作用がある。