
中種法
カテゴリ:混ぜる

使用する小麦粉の一部をイースト、水、時には副材料も加えて中種を作り、2時間以上発酵をとった後、残りの材料を加えて本捏ねをして生地を作る製法。
中種法でつくるパンには、以下のような特徴がある。
利点
・ボリュームがあり、ソフトな食感
・老化が遅く、日持ちする
欠点
・中種法のための設備と作業スペースが必要
・所要時間が長い
・風味が出づらい
中種を作ってから本捏ねする手間がかかるが、手順さえ守れば生地の質が一定になりやすく調整もしやすいため、出来上がりの製品が安定しやすい。
中種法で食パンを製造する場合の総時間の目安は、ストレート法の1.5倍の約6時間30分。
発酵の時間が長いため、焼き立てパンを売りにしているような店ではあまり採用されないが、逆に「日持ち」を重要視する大手の製パン工場などではよく用いられる製法。
更新日:2019年07月11日
作成日:2019年07月11日
更新日:2019年07月11日
作成日:2019年07月11日
パティシエWikiは現場で働くパティシエのみなさんの協力のもと制作されています。
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関係項目
• グルテン
小麦粉のタンパク質であるグルテニンとグリアジンが変質したものをグルテンという。グルテンは水を粉に加え、練ると現れ、弾力性と粘り気がある。 グルテンにはグルテニンとグリアジンという2種類のタンパク質があり、この2つが絡み合って形成される。 練れば練るほどグルテンがたくさん出てくる。家で例えるならグルテンは柱のような存在で、生地作りにおいて骨格形成の働きがある。スポンジ生地はグルテンの力で形が整い、パンはグルテンの力で膨らみ、うどんにコシが出るのもグルテンの作用である。 グルテンの量と質 小麦粉の種類によって含まれるタンパク質の量と性質が異なり、「薄力粉」「中力粉」「強力粉」の3種類にわかれている。→小麦粉の種類 薄力粉は、軟質小麦を原料とする小麦粉。タンパク質の割合は小麦粉の中で一番少なく8.5%以下。粉の特徴はきめが細かく、しっとりとしていて握ると塊ができる。 強力粉は、硬質小麦を原料に作られている。タンパク質の割合が11.5%以上の小麦粉を強力粉と呼び、タンパク質の含有量が小麦粉の中で一番多い。粉の特徴はきめが粗くさらさらしていて、打ち粉に使われていたりする。 強力粉は薄力粉よりタンパク質量が多いためグルテン形成量も多く、弾力と粘り気が強い。 グルテンの作用 パン生地への影響 パンをつくる場合、小麦粉他材料と水を加えて捏ねると、軟らかく弾力がある生地になる。 捏ねることでグルテンが形成され、生地を伸ばすと薄い膜のようになり、網目で細い繊維状になる。 焼成の際にオーブンで熱が加わるとイーストがガスを発生させ、膨張して体積がさらに大きくなり、よくふわふわのパンに仕上がっていく。 生地の中心温度が95~97℃に上がった際、形成されたグルテンの網目状組織は熱で変性して固くなるため、パン中にしっかりした骨組みができて冷えてもその形を保てる。でんぷんが壁、グルテンが柱の役割を果たしている。 パイ生地への影響 パイ生地は、練り合わせたり、麺棒でのばしたりした後には、必ず「生地を休ませる」という工程が入る。 練り合わせたばかりの生地はグルテンにより弾性が強まり伸ばしにくくなったり、焼成の際に縮みが起こったりする。伸ばした直後のグルテンが作用したままの生地は使うことができない。生地のコシを作っているグルテンのタンパク質の粘弾性は、生地を休ませている間に変化し、ゆるまっていく。 練り合わせた生地や麺棒でのばしたばかりの生地は、グルテンの構造が無理な力で引きのばしたような状態になっている。そのため、力を加えて無理に生地をのばそうとしても、元の状態に戻ろうとする力が強く、非常にのばしにくかったり成形しにくい。 しかし、この生地を冷蔵庫でしばらく冷やして休ませるとグルテンによる弾力がだんだん弱くなり、のばしやすくなっていく。寝かしている間にグルテンの網目構造無理な力のかかっている部分が切れ、ほぐれ、構造全体に余裕ができてくるので伸ばしやすく加工しやすくなる。 グルテンに影響する副材料、添加剤 食塩はグルテンのコシを強くする性質を持っている。パン作りにおいては食塩は重要なもので、全体がしっかり締まって、弾力がありダレない。 食塩を入れないと、発酵させている間に生地がダレてベタベタした仕上がりになってしまう。 食塩の量が多すぎると、パン酵母(イースト)の発酵が抑えられ、生地が膨らまなくなることもある。 サラダ油などの液状油はグルテンの無理な結合を減らしたり、グルテンと他の成分との接触をなめらかにしたりする役割がある。液状油を加えた生地は、生地全体が非常に軟らかくなり、薄く伸ばしやすい。 また、レモン汁や酢などはグルテニンとグリアジンを溶けやすくし、グルテンがやわらくなり生地が伸びやすくなる。 アルコールなどもグリアジンを溶けやすくし、グルテンを柔らかくする作用がある。
• 灰分と小麦粉の等級
小麦粉の分類 小麦粉の分類方法は大きく2種類ある。 ひとつは種類による分類で、もうひとつは等級による分類である。 小麦粉に含まれるタンパク質の量に応じて粉のタイプが異なる。タンパク質の多い順に強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉と分類される。この性質の違いは原料小麦の特性よるもので、硬質小麦からは強力粉、中間質小麦からは中力粉、軟質小麦からは薄力粉が作られる。そして、強力粉はパン、中力粉は麺、薄力粉はお菓子に使用するのが一般的である。 小麦粉の等級 小麦粉の等級は灰分と大きな関わりがある。 等級は、小麦粉の胚乳部分にある灰分の含有量によって分類される。 胚乳の中心部は灰分が少なく、外側にいくに連れて多くなっている。 灰分が少ない方が色が白くなりタンパク質量も少ない上級粉となり、灰分が多くなると茶褐色でタンパク質量が多い下級粉となる。 灰分値が0.3~0.35%のものは特等粉、0.35~0.45%のものが1等粉、0.45~0.65%のものが2等粉、0.7~1.0%のものが3等粉、そして1.2~2.0%のものが末粉と分類されている。 同じ成分でもより白くおいしくする必要がある一般のパンは特等粉や一等粉が使われ、色や揚げ色がきれいに出したいパン粉などは2等粉を使うなどというように分けて使う。