
ブール・マニエ
カテゴリ:製造過程
等量の柔らかいバターと小麦粉からなる生地で、スープやソースに濃度をつけるのに用いる。小麦粉とバターを一緒に練ることにより、小麦粉の粒子がバターで覆われ、ブールマニエが温かい液体と混ぜられたときにバターが溶けて小麦粉の粒子が塊にならずに分散する。
更新日:2020年11月10日
作成日:2018年10月23日
更新日:2020年11月10日
作成日:2018年10月23日
パティシエWikiは現場で働くパティシエのみなさんの協力のもと制作されています。
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関係項目
• グルテン
小麦粉のタンパク質であるグルテニンとグリアジンが変質したものをグルテンという。グルテンは水を粉に加え、練ると現れ、弾力性と粘り気がある。 グルテンにはグルテニンとグリアジンという2種類のタンパク質があり、この2つが絡み合って形成される。 練れば練るほどグルテンがたくさん出てくる。家で例えるならグルテンは柱のような存在で、生地作りにおいて骨格形成の働きがある。スポンジ生地はグルテンの力で形が整い、パンはグルテンの力で膨らみ、うどんにコシが出るのもグルテンの作用である。 グルテンの量と質 小麦粉の種類によって含まれるタンパク質の量と性質が異なり、「薄力粉」「中力粉」「強力粉」の3種類にわかれている。→小麦粉の種類 薄力粉は、軟質小麦を原料とする小麦粉。タンパク質の割合は小麦粉の中で一番少なく8.5%以下。粉の特徴はきめが細かく、しっとりとしていて握ると塊ができる。 強力粉は、硬質小麦を原料に作られている。タンパク質の割合が11.5%以上の小麦粉を強力粉と呼び、タンパク質の含有量が小麦粉の中で一番多い。粉の特徴はきめが粗くさらさらしていて、打ち粉に使われていたりする。 強力粉は薄力粉よりタンパク質量が多いためグルテン形成量も多く、弾力と粘り気が強い。 グルテンの作用 パン生地への影響 パンをつくる場合、小麦粉他材料と水を加えて捏ねると、軟らかく弾力がある生地になる。 捏ねることでグルテンが形成され、生地を伸ばすと薄い膜のようになり、網目で細い繊維状になる。 焼成の際にオーブンで熱が加わるとイーストがガスを発生させ、膨張して体積がさらに大きくなり、よくふわふわのパンに仕上がっていく。 生地の中心温度が95~97℃に上がった際、形成されたグルテンの網目状組織は熱で変性して固くなるため、パン中にしっかりした骨組みができて冷えてもその形を保てる。でんぷんが壁、グルテンが柱の役割を果たしている。 パイ生地への影響 パイ生地は、練り合わせたり、麺棒でのばしたりした後には、必ず「生地を休ませる」という工程が入る。 練り合わせたばかりの生地はグルテンにより弾性が強まり伸ばしにくくなったり、焼成の際に縮みが起こったりする。伸ばした直後のグルテンが作用したままの生地は使うことができない。生地のコシを作っているグルテンのタンパク質の粘弾性は、生地を休ませている間に変化し、ゆるまっていく。 練り合わせた生地や麺棒でのばしたばかりの生地は、グルテンの構造が無理な力で引きのばしたような状態になっている。そのため、力を加えて無理に生地をのばそうとしても、元の状態に戻ろうとする力が強く、非常にのばしにくかったり成形しにくい。 しかし、この生地を冷蔵庫でしばらく冷やして休ませるとグルテンによる弾力がだんだん弱くなり、のばしやすくなっていく。寝かしている間にグルテンの網目構造無理な力のかかっている部分が切れ、ほぐれ、構造全体に余裕ができてくるので伸ばしやすく加工しやすくなる。 グルテンに影響する副材料、添加剤 食塩はグルテンのコシを強くする性質を持っている。パン作りにおいては食塩は重要なもので、全体がしっかり締まって、弾力がありダレない。 食塩を入れないと、発酵させている間に生地がダレてベタベタした仕上がりになってしまう。 食塩の量が多すぎると、パン酵母(イースト)の発酵が抑えられ、生地が膨らまなくなることもある。 サラダ油などの液状油はグルテンの無理な結合を減らしたり、グルテンと他の成分との接触をなめらかにしたりする役割がある。液状油を加えた生地は、生地全体が非常に軟らかくなり、薄く伸ばしやすい。 また、レモン汁や酢などはグルテニンとグリアジンを溶けやすくし、グルテンがやわらくなり生地が伸びやすくなる。 アルコールなどもグリアジンを溶けやすくし、グルテンを柔らかくする作用がある。
• 糊化
小麦粉と水分を一緒に加熱すると、小麦粉に含まれるデンプン粒「アミノペクチン」が水分を吸収して膨らんでいき、糊のような粘りがある状態になる。この現象を糊化(こか)という。 デンプンの糊化により、様々なケーキの土台やクリームが構成される。 スポンジ生地 スポンジ生地における糊化の役割は、スポンジにしっとりとした、柔らかい食感を生むことである。 スポンジの骨組みは小麦粉のグルテンにより形成されるが、ふんわりとした柔らかい食感は、デンプンの糊化によるも。 デンプンの糊化とグルテンの形成の両方に水分が必要になるので、水分が多い配合の方がしっとりとした柔らかい仕上がりになりやすい。 シュー生地 シュー生地の作り方は他の生地とは違っており、バターと水を十分に沸騰させて、小麦粉を加え生地を練り上げていく。この時に小麦粉に含まれるデンプンの糊化により、粘りがある生地になる。糊化した後、卵を加え生地の固さを調整していく。デンプンの糊化により、粘りがあり水分を十分に含んだ生地は、熱を加えると風船のように膨らんでいきます。 タルト生地 タルト生地では、小麦粉内のデンプンは卵の水分を含み糊化し、タルト生地の土台を作る。 バター生地 バター生地では、小麦粉内のデンプンは卵の水分を含み、糊化し粘りを出す。 水蒸気となって水分がなくなると、ふっくらとした柔らかい仕上がりを生む。 クレーム・パティシエール クレーム・パティシエールは、滑らかさがあるクリームに仕上げるため、糊化したクリームをさらに過熱し、糊化の限界までもっていってブレークダウンさせ、コシを切ります。 クリームを作るときに、牛乳・卵黄・砂糖・小麦粉を混ぜたものを加熱し、練り上げます。はじめはデンプンの糊化が始まり、しだいにクリームにコシが出てくる。生地の温度が95℃になると、糊化の限界に達してデンプン粒が破壊し、 滑らかな状態になる。コシが切れたクリームは冷却後、滑らかな状態になる。