
チョコレートウォーマー
カテゴリ:機械
チョコレートウォーマーは別名チョコメルターとも呼ばれ、最適な温度管理を行いながらチョコレートの溶解・保存ができる。
チョコレートは高温で加熱すると分離してしまう。また、適切な温度で扱わなかった場合、表面に白っぽい粉やまだら模様が浮き出てくるブルームという現象を起こす。
そのため、チョコレートの溶解・保存には原料の種類や質、室温などに合わせたきめ細やかな温度管理が必要である。
チョコレートウォーマーの種類
温水式
温水式のチョコレートウォーマーは家庭での鍋の湯煎と同様に、お湯の熱でチョコレートを加熱する。そのため、チョコレートが焦げる心配がない。また、チョコレートの溶解・保存の際に器具に水分が残っていたり、湯煎の水が入ってしまうと、チョコレートの中のカカオバターの油脂と反発し、チョコレートがぼろぼろになってしまうため、注意する。
乾式
乾式のチョコレートウォーマーは電気の熱で加熱するため、溶解・保存に水を使用しない。そのため、蒸気やお湯が混入する心配がない。使い方
チョコレートウォーマー本体の温度設定をチョコレート溶解温度に合わせ、チョコレートをステンレスボールに入れる。溶解後はステンレスボールを本体から取り外し、攪拌しながら冷却し、テンパリングする。そして、温度調節をチョコレート保存温度に合わせ、ステンレスボールを本体に戻す。こうすることによって、テンパリング状態を崩すことなく、保温が可能になる。
温水式の場合は、最初にチョコレートウォーマー本体のステンレスボールを取り外し、水を補給しておく必要がある。
また、溶解・保存温度は製品やメーカーごとに違うため、製品パッケージに記載の温度を確認のうえ使用する。
使うシーン
ボンボン・ショコラやトリュフチョコレート、オランジェットをはじめとするチョコレート菓子はもちろん、ザッハトルテやフォンダン・オ・ショコラなどのケーキ、コロネのチョコレートクリームを作る際など、チョコレートの溶解・保存が必要なものに利用する。チョコレート菓子は温度管理に非常に敏感なため、チョコレートウォーマーを利用してきちんと温度管理を行うことで、均一な質で製品を仕上げることができる。
注意点
使用の際は高温多湿の部屋は避ける。乾式のチョコレートウォーマーには、本体内部に水が入らないようにする。
手入れの際は、水で薄めた台所中性洗剤を含ませた布硬く絞って使う。
また、水温式・乾式ともに加熱中は非常に高温になるため、高温部分に触れないように注意する。
更新日:2018年12月11日
作成日:2018年09月13日
更新日:2018年12月11日
作成日:2018年09月13日
パティシエWikiは現場で働くパティシエのみなさんの協力のもと制作されています。
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関係項目
• チョコレート
チョコレート【英:chocolat(チョコレート)、仏:chocolat(ショコラ)】 チョコレートとは、カカオ豆の果肉(カカオニブ)を磨潰したカカオマスに粉糖、粉乳、ココアバターを加えてレファイナーでロール磨潰後、コンチェで撹拌し、温度調整(テンパリング)後、冷やし固めたもの。 チョコレートの中でも、カカオ分35%以上・うちココアバターを18%以上含み、代用油脂やレシチン以外の乳化剤を含まないものを純チョコレートという。 チョコレートの規格は、カカオ分21%・うちカカオバターを18パーセント以上含むものとなっている。 ※カカオ分とは、カカオニブ、カカオマス・カカオバター・ココアパウダーの水分を除いた合計量を指す。 →カカオ(豆)・カカオニブ・カカオマス →ココアバター(カカオバター) →ココアパウダー 準チョコレート 準チョコレートとは、カカオマスにココアパウダー、粉糖、粉乳、カカオバター(3%以上)、代用油脂を加え、ロール磨潰、精練し、温度調整(テンパリング)後、固めたもの。 準チョコレートの規格は、カカオ分が15%以上・うちカカオバター3%以上を含むものとなっている。 チョコレートと乳化剤 本来チョコレートの製造には乳化剤は必須ではないが、乳化剤を使用しなかった場合、撹拌して原料の成分を均一に結合させるのに72時間以上の時間がかかる。そのため、生産効率を配慮し、原料チョコレートを含めたチョコレート製品の多くに乳化剤が使用されている。 チョコレートに使われる乳化剤には、大豆由来のレシチンやグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルなどがある。
• テンパリング
テンパリング【英:tempering(テンパリング)仏:〔男〕tempérage(タンペラージュ))】 チョコレートを溶かして温度調整すること。ばらばらになっているココアバター(カカオ豆の脂肪分)の結晶を最も安定した結晶型に揃える事をテンパリング(調温)という。 この工程を経ることで、チョコレートに大切な適度な硬さやパリッとした食感、滑らかな口溶け、艶がもたらされる。 指で触っただけで溶けてしまったり、表面が白く変色するブルーム現象も同時に防ぐことができる。 口溶けが良く美味しいチョコレートを作る上では欠かせない作業である。 テンパリングは温度調整作業をさすため、言い方としては ・ 「テンパリングをする」 は 「温度調整をする」 ・ 「テンパリングをとる」 は、 適切な温度を"とる" ・ 「テンパリングが外れる」 は、 適切な温度帯から外れる といった意味に捉えるとわかりやすい。 よって、きちんとテンパリングされたものは「テンパリングがとれている」という。 テンパリングの種類 テンパリングには、一定の温度を保って長時間撹拌する 『恒温型テンパリング』 と、温度を変化させて調整する 『昇温型テンパリング』 がある。 『恒温型テンパリング』は結晶が形成されるまで長時間撹拌し続けなければならない為、機械を使った大量生産に向いている。工場などで使われることが多い。 『昇温型テンパリング』は、やや手間は掛かるが比較的短時間で行うことができ、水冷法・フレーク法(種付け法/シード法)・タブリール法(タブラージュ)といった3種類の方法がある。 テンパリングがいつ誰によって開発されたかは定かではないが、多くのチョコレート職人の試行錯誤によってこの技術にたどり着いたと考えられている。それは今も尚、様々な職人や研究者によって進んでいる。 テンパリングによるチョコレートの構造変化 ココアバターは気まぐれな性質で、融点・密度・結晶形などが異なる6種類もの結晶型に固まることが出来る。 この様々な結晶型が含まれていると、それぞれの結晶が別々の温度で溶け出してしまうため、保存が難しく、滑らかな口溶けも楽しめない。 そこでテンパリングを行うことで、常温では溶けず、口に入れた時には滑らかに溶け出すような安定した結晶だけにするのである。 結晶の種類は、ローマ数字で「I型」〜「Ⅵ型」と表され、数字が大きくなるほど溶け始める温度(融点)が高くなる。私達が食べ慣れている美味しいチョコレートの結晶型は「Ⅴ型」で、融点は体温より少し低い33℃。Ⅴ型は光沢があり、結晶粒径が細かい為なめらかな口溶けな上に高密度で型外れが良い。 I型〜Ⅳ型の結晶は融点が低く、低密度で型から外しにくいため、不安定で製品には不向き。Ⅵ型は安定形だが融点が高く、ブルームの元凶ともなる。口に含んでも溶けにくくボソボソして、結晶粒径が粗いため、溶けてもざらついた食感で見た目も悪い。 全ての結晶を「Ⅴ型」にするテンパリング 1. チョコレートを加熱し(50℃前後)全ての結晶を溶かす。 2. 25〜26℃に冷却し、一旦「Ⅳ型(融点27℃)の結晶を作る。 3. そこから温度を上げ(30〜31℃)、融点が「Ⅳ型」より高く「Ⅵ型」より低い「Ⅴ型」の結晶を作り出す。 この後、再度冷却して保存温度で熟成させると「Ⅴ型」の結晶が全体に広がり、美味しいチョコレートが出来る。 また、上記の温度帯は基本的なものであり、チョコレートに含まれるココアバターの量が多いほど高温度帯での調温となる。チョコレートの種類、メーカー、ブランドによって温度帯は細かく違ってくる。 チョコレートのパッケージや各社サイトに温度帯の詳細が記載されているので確認するようにする。 ココアバターの使用 テンパリングの際にココアバターを加える事で状態が滑らかになり、チョコレートの粘度が低くなって、テンパリングがしやすくなる。比較的パリッとした食感に仕上がるため、薄くチョコがけをしたい場合に適している。 また、近年はココアバターを使った新しいテンパリング技術が開発されている。 溶かしたチョコレートに既に安定した「Ⅴ型」のココアバター(パウダー状にされたものが製品化された)を適量加えることで連鎖反応を起こし、全体を安定して結晶化させる方法である。 従来のテンパリングのように「Ⅴ型」の結晶型を作り出しているのではなく、単に加えるという工程だけでできる。適量というのも少量(1%)で良く、混ぜやすい。 この方法により、簡単に短時間でテンパリングを完了することが可能となった。