和菓子職人を目指したいものの、「専門学校へ行くべき?」「未経験からでも応募できる?」「実際にはどんな仕事をする?」と迷っている方もいるでしょう。
和菓子職人になるための進路は一つではありません。現在の経験や、どのように技術を身につけたいかによって選択肢が変わります。
この記事では、和菓子職人を目指す主な進路と選び方、仕事内容、関連資格、向いている人の特徴、一人で仕事を進められるようになるまでの目安、求人を選ぶときの確認ポイントを解説します。
この記事の目次
和菓子職人になるには?主な進路と選び方
和菓子職人を目指す方法には、大きく分けて「製菓系の学校で学んでから就職する方法」と「和菓子製造の仕事に就き、働きながら学ぶ方法」があります。
どちらの方法でも和菓子職人を目指せますが、学び方や時間の使い方、経験できる内容には違いがあります。自分がどのように技術を身につけたいかを考えながら選ぶことが大切です。
製菓系の学校で学んでから就職する
製菓系の学校では、実習を通して菓子製造の基本を学びながら、製菓理論や食品衛生、材料に関する知識などを身につけます。
和菓子を扱う授業では、学校や学科によって内容は異なりますが、餡の扱い方や生地づくり、包餡、蒸し菓子・焼き菓子、上生菓子の成形などを学ぶ場合があります。就職前に基礎を体系的に学びたい方には選択肢の一つです。
学校によっては洋菓子や製パンなど別分野の実習もあり、幅広く製菓を学べることがあります。一方で、進学には学費や通学期間が必要になるため、学びたい内容と費用・期間の両方を確認しておくことが重要です。
また、学校によっては製菓衛生師の受験資格につながる課程もあります。資格取得も視野に入れている場合は、希望する学校のカリキュラムや養成施設の指定状況を確認しておくとよいでしょう。
和菓子製造の仕事に就き、働きながら学ぶ
学校を経由せず、和菓子製造の求人へ応募し、実際の製造現場で経験を積みながら技術を身につける方法もあります。
働きながら学ぶ方法では、収入を得ながら、勤務先で実際に販売・出荷している商品づくりを経験できます。現場で求められる手順やスピード感を知りながら技術を身につけられる点も特徴です。
一方で、扱う商品や担当できる工程は勤務先の製造体制によって変わります。大福やまんじゅうなどを中心に作る職場と、上生菓子を多く扱う職場では、身につけやすい技術も異なります。
そのため、将来作りたい商品や経験したい工程がある場合は、応募前に勤務先がどのような和菓子を扱っているかを確認しておくことが大切です。
自分に合う進路を選ぶときのポイント
- 学校で学ぶ方法:就職前に基礎から体系的に学びたい方や、和菓子だけでなく製菓全体に触れてから進路を考えたい方が検討しやすい方法です。一方で、学費や通学期間が必要になります。
- 働きながら学ぶ方法:できるだけ早く現場に入り、収入を得ながら実際の商品づくりを経験したい方が検討しやすい方法です。一方で、経験できる商品や工程は勤務先によって変わります。
「どちらが優れているか」ではなく、就職前に幅広く学びたいのか、早く現場経験を積みたいのかを基準にすると、自分に合う進路を考えやすくなります。
和菓子職人はどんな仕事をする?
和菓子職人の仕事は、材料の準備から仕込み、成形、加熱、仕上げ、検品・包装まで、商品を完成させる一連の工程に関わることです。すべての工程を一人で担当する職場もあれば、複数人で分担して製造する職場もあります。
和菓子職人の仕事は、扱う商品によって工程が異なります。ここでは大福とどら焼きを例に、仕事内容の一部を紹介します。
大福づくりを例にした主な仕事
たとえば大福を作る場合は、餡やもち米などの材料を準備し、餡と餅生地をそれぞれ仕込み、生地で餡を包んで形を整えます。その後、仕上がりを確認し、販売・出荷できる状態に整えて包装する、といった流れがあります。
- 材料の計量・下準備
- 餡や餅生地の仕込み
- 包餡・成形
- 仕上がりの確認
- 包装・出荷準備
職場によっては餡を一から炊く場合もあれば、用意された餡を使用する場合もあります。どこからどこまで担当するかは、製造体制によって変わります。
どら焼きづくりを例にした主な仕事
どら焼きを作る場合は、生地の材料を計量して混ぜ合わせ、焼き上げた生地に餡をはさんで形を整えます。大福とは異なり、生地の状態や焼き加減を確認しながら進める工程が中心になります。
- 材料の計量・生地づくり
- 生地の焼成
- 餡をはさむ
- 形や焼き色の確認
- 包装・出荷準備
同じ和菓子でも、大福では餅生地や包餡、どら焼きでは焼成など、商品によって中心となる作業が変わります。
商品や職場によって仕事内容は変わる
大福とどら焼きの例からも分かるように、和菓子職人の仕事は商品によって必要な作業や技術が変わります。上生菓子であれば、細かな成形や意匠を加える工程が中心になることもあります。
また、少人数で製造する職場では仕込みから仕上げまで幅広く関わることがありますが、製造量の多い工場などでは工程ごとに分担する場合もあります。同じ「和菓子職人」という職種でも、扱う商品や職場の規模によって実際の働き方は一様ではありません。
和菓子職人に向いている人の特徴
すべてに当てはまる必要はありませんが、和菓子職人の仕事では、丁寧に作業を積み重ねる姿勢や、商品ごとの違いを覚えながら技術を磨く姿勢が役立ちます。
- 細かな作業を丁寧に続ける力:成形や仕上げなど、形や大きさをそろえながら進める作業があります。
- 技術を少しずつ身につけていく姿勢:商品や工程ごとに覚えることがあるため、経験を重ねながらできる仕事を増やしていく姿勢が役立ちます。
- 季節感や見た目に興味を持てること:上生菓子など、季節や意匠を表現する商品に関わる職場では、見た目への関心も仕事に活かせます。
- 周囲と連携して仕事を進める力:複数人で工程を分担する職場では、他のスタッフと進捗を共有しながら製造を進めます。
これらを最初からすべて備えている必要はありません。未経験から働く場合は、現場で仕事を覚える中で身につけられる部分もあります。自分の得意なことだけで判断せず、「どのような働き方なら続けやすそうか」という視点でも考えてみましょう。
和菓子職人に資格は必要?
和菓子職人として働くために、すべての求人で共通して必要になる資格があるわけではありません。資格を応募条件としていない求人もあるため、就職するために必ず取得しておく必要はありません。
一方で、製菓について学んだ知識や、実務を通して身につけた技能を客観的に示すものとして、「製菓衛生師」や「菓子製造技能士」といった国家資格があります。
どちらも「和菓子職人になるために先に取得する資格」というより、学校での学びや現場での経験を重ねる中で取得につながる資格です。就職・転職の場面では、これまで身につけてきた知識や技能を第三者へ伝える材料の一つになります。
製菓衛生師は製菓・衛生に関する知識を示す資格
製菓衛生師は、菓子製造に関する衛生や食品、栄養、製菓理論などの知識を扱う国家資格です。
受験資格を得る方法には、都道府県知事が指定する製菓衛生師養成施設で1年以上学ぶ方法や、所定の学歴要件を満たしたうえで2年以上菓子製造業に従事する方法があります。
資格を持つことで、製菓や食品衛生について一定の知識を学んできたことを客観的に示せます。
菓子製造技能士は実務で身につけた技能を示す資格
菓子製造技能士は、技能検定「菓子製造」に合格した人が名乗ることができる国家資格です。
和菓子については「和菓子製造作業」があり、餅菓子、蒸し菓子、焼き菓子、餡菓子などの製造に必要な技能・知識が対象となります。
実務経験を重ねたうえで受検する資格のため、現場で身につけてきた和菓子製造の技能を確認し、客観的に示すものとして位置づけられます。
一人前の和菓子職人になるまで何年かかる?
和菓子職人には、「何年働けば一人前」という全国共通の基準はありません。扱う商品や担当する仕事、職場の教育方法などによって、技術を身につけるペースが変わるためです。
一つの参考として、厚生労働省の職業情報提供サイトjob tagでは、和菓子製造に携わる人を対象に、「周囲から特別なサポートを受けなくても、一般的な働き手と同じように仕事ができるようになるまで」の期間を調査しています。
回答では「1か月超~6か月以下」が34.1%と最も多く、「6か月超~1年以下」が20.5%でした。半数以上が1か月超~1年以下の範囲に含まれています。
ただし、この数字を「和菓子職人として一人前になるまでの期間」と考えるのは適切ではありません。示されているのは、担当する仕事を周囲の特別なサポートなしで進められるようになるまでの目安です。
和菓子職人の仕事では、一つの業務を任せられるようになった後も、担当する商品や工程が広がれば新たな技術を覚えていきます。日常の仕事を一人で進められるようになることと、職人として扱える仕事の幅を広げていくことは、分けて考える必要があります。
そのため、「何年で一人前になるか」という一つの年数よりも、まず担当業務を安定して進められるようになり、その後も経験を重ねながらできる仕事を増やしていく、と捉える方が実際の働き方に近いでしょう。
未経験から和菓子職人の求人を選ぶときに確認したいこと
未経験から和菓子職人を目指す場合は、「未経験歓迎」という表示だけで求人を選ばないことが大切です。応募条件だけでなく、担当する商品や工程、教育の進め方、給与・待遇、勤務時間まで確認すると、自分に合う職場かを判断しやすくなります。
応募条件
「未経験歓迎」と書かれていても、その意味は求人ごとに異なります。製菓そのものが未経験でも応募できる場合もあれば、「和菓子は未経験でも、洋菓子や食品製造の経験は必要」といった条件が設けられている場合もあります。
求人一覧の表示だけで判断せず、応募資格欄まで確認しましょう。自分の経験が条件に当てはまるか分からない場合は、応募前に確認しておくと判断しやすくなります。
パティシエントでも、未経験者が応募できる募集が掲載される一方、和菓子製造などの経験を求める求人もあります。
担当する商品・工程・業務範囲
求人を見るときは、どの和菓子を作るのか、どの工程を担当するのかまで確認します。大福やまんじゅうを中心に扱う職場と、上生菓子や焼き菓子を多く扱う職場では、経験できる仕事が変わります。
また、製造だけを担当するとは限りません。店舗併設型の職場では販売・接客や品出しを手伝う場合があり、製造拠点では包装・出荷、在庫確認などを担当することもあります。自分が経験したい仕事と求人の業務範囲が合っているかを確認しましょう。
入社後の教育・習得の流れ
「和菓子製造全般」と記載されていても、入社直後の担当範囲は職場によって異なります。未経験の場合は、包装や仕上げ、成形補助などから始め、仕事に慣れた後に仕込みや餡づくりへ進む職場もあります。
大切なのは、最初の担当業務だけではなく、その後どのように仕事の幅を広げられるかを見ることです。将来的に餡づくりや上生菓子などを経験したい場合は、その工程まで学べる環境かを確認します。
募集要項だけでは分からない場合は、面接時に次の点を確認すると、入社後の流れを把握しやすくなります。
- 入社後はどの工程から担当するのか
- 誰から、どのように仕事を教わるのか
- 経験を積んだ後はどの工程まで担当できるのか
給与・待遇
給与は月給の金額だけで比較せず、内訳まで確認します。同じ月給表記でも、固定残業代が含まれている求人と、残業代が別途支給される求人では条件が異なります。
- 基本給と固定残業代の内訳
- 賞与・昇給の有無
- 住宅手当・役職手当・通勤手当など
- 試用期間中の給与・雇用条件
特に未経験から応募する場合は、求人に記載された給与が未経験者にも適用されるのか、経験やスキルによってスタート時の給与が変わるのかも確認しておきましょう。
勤務時間・休日
勤務時間や休日も、仕事内容と同じくらい求人ごとの差が出やすい項目です。製造する商品や店舗の営業時間によっては、早い時間帯から勤務する求人もあります。
店舗型では開店前の製造が中心になることもあれば、製造工場ではシフト制で日中勤務を含む場合もあります。年末年始や季節行事などで製造量が増える職場もあるため、繁忙期の働き方も確認しておくと入社後をイメージしやすくなります。
始業・終業時間、シフト、休日数、繁忙期の勤務などを募集要項で確認し、自分が続けやすい働き方かを考えます。
経験に合う和菓子職人求人を探す
未経験から応募できる求人は「未経験歓迎求人」から、経験を活かせる求人は「和菓子職人の求人一覧」から確認できます。
和菓子職人についてよくある質問
まとめ:和菓子職人を目指すなら、自分に合う進路を考えよう
和菓子職人を目指す方法には、製菓系の学校で基礎を学んでから就職する方法と、和菓子製造の仕事に就き、現場で経験を積みながら技術を身につける方法があります。学校では体系的に学びやすい一方で学費や通学期間が必要になり、働きながら学ぶ場合は早く現場経験を積める一方で、経験できる商品や工程は勤務先によって変わります。
仕事内容も職場によって一様ではありません。大福であれば餡や餅生地の仕込みから包餡・成形、包装まで、どら焼きであれば焼成、上生菓子であれば細かな成形や意匠など、扱う商品によって必要な仕事や技術が異なります。
また、和菓子職人として働くためにすべての求人で共通して必要になる資格はありません。資格の有無だけでなく、仕事内容や働き方が自分に合いそうかという視点も大切です。丁寧な作業や技術を積み重ねることに興味があるかなど、自分自身に置き換えて考えてみましょう。
求人を探すときは、応募条件、担当する商品・工程、教育の流れ、給与・待遇、勤務時間・休日まで確認することが大切です。「自分がどんな和菓子を作りたいか」「どのように技術を身につけたいか」を整理すると、自分に合う進路や職場を選びやすくなります。
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