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【2026年最新】パティシエの産休・育休ガイド!給付金から復帰後のリアルな両立まで

【2026年最新】パティシエの産休・育休ガイド!給付金から復帰後のリアルな両立まで

「立ち仕事や体力的な負担が大きいお菓子作りの現場で、結婚や出産後もパティシエとして働き続けられるのだろうか?」
「産休や育休という制度があるのは知っているけれど、少人数でお店を回している今の状況で、実際に休んでから復帰するイメージが全く湧かない…」
「休んでいる間の収入はどうなるのか、もらえるお金の仕組みを正しく知っておきたい」

技術を磨き、お店の中で任される仕事が増えてくる20代後半から30代の女性パティシエにとって、出産後のライフプランと、大好きなお菓子作りの仕事をどう両立させていくかは、非常に切実で大切なテーマです。
熱気がこもるオーブンの前での作業や、20キロを超える小麦粉や砂糖の袋の持ち運び、精度が必要な仕込みスケジュール。こうした製菓業界ならではのハードな環境の中で、周りのスタッフと協力しながらスムーズにお休みに入り、安心して職場に戻るためには、制度や法律の正しい知識と、早めの準備が欠かせません。

この記事では、パティシエが知っておくべき産休・育休の仕組みや、もらえるお金(給付金)のリアルな計算方法、さらには「保育園の送迎」と「朝の仕込み」をどう両立させるかといった具体的な悩みの解決策までを詳しく解説します。
今の職場で工夫できることから、少し働き方を変えて活躍し続ける選択肢まで、これまで培ってきたパティシエとしての経験を長く活かし続けるためのヒントをたっぷりとお届けします。

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飲食・製菓業界における「産休・育休」取得の実態

まずは、ケーキ屋さんや洋菓子店といった製菓業界において、産休や育休を取ることが実際にはどうなっているのか、その実態から見ていきましょう。

「少人数の店舗では休みづらい」と感じる理由とその背景

製菓業界で働くパティシエの多くが、妊娠がわかったときに「このまま今の職場で仕事を続けられるのだろうか」と大きな不安を抱えます。その大きな理由の一つが、多くのお店が少人数のスタッフで回っているという環境にあります。
街のケーキ屋さんなどでは、一人ひとりの職人が担当する仕事の範囲が広く、「スポンジ生地の仕込みはこの人」「ムースの温度管理はこの人」「オーブンでの焼き上げはこの人」といったように、特定の人がいないとお店の味が保てない、作業が回らないという状況になっていることが少なくありません。
また、クリスマスやバレンタイン、ホワイトデーといった繁忙期には、スタッフ全員が限界まで働いてお店を支えています。こうした中で自分が長期間お休みをとるとなると、「代わりの人がいないから、お店に迷惑をかけてしまう」「自分が抜けることで、他のスタッフの負担が大きくなってしまう」と深く悩み、結果として「妊娠したらパティシエを辞めるしかない」と思い込んでしまうケースが見られます。しかし、これは業界全体が抱える人員不足という課題であって、妊娠したあなた個人の責任では決してありません。

データから見る取得率の上昇と、職場のルール整備

一昔前までは「パティシエは体力勝負の厳しい職人の世界だから、結婚や出産を機に引退するのが当たり前」という空気が確かにありました。しかし近年、そうした業界の状況は大きく変わりつつあります。
厚生労働省の「令和5年度雇用均等基本調査」を見ても、飲食サービス業における育児休業の取得率は着実に上がってきています。とくに、働くためのルールがしっかりと整っているホテルや、全国に店舗がある洋菓子店、製菓工場などでは、産休や育休を取ってから復帰し、短い時間で働く時短勤務などを活用して働き続ける女性パティシエがどんどん増えています。
「お菓子作りの仕事だから休めない」のではなく、「お店の労務管理がきちんと法令に沿って運用されているか」が、お休みを取れるかどうかの大きなカギとなっているのです。少人数のお店であっても、早めにシェフや店長に相談をして計画的に引き継ぎを行うことで、スムーズにお休みに入り、無事に復帰を果たしている先輩パティシエの事例はたくさんあります。

休みによる技術への不安と、復帰に向けた準備の重要性

また、職場の環境とは別に、「1年も現場を離れたら、ケーキを作る感覚が鈍ってしまうのではないか」という技術面での不安から、お休みを取ることに消極的になる方もいます。
たしかに、毎日何百個と絞っていた生クリームのスピード感や、手のひらで感じる生地の温度、オーブンの微妙なクセを見抜く感覚などは、少し休むと一時的に鈍く感じることがあるかもしれません。
しかし、何年も厳しい修行を重ねて体に染み込ませた「美味しい生地を見極める感覚」や「綺麗なデコレーションのバランス」といった職人の本質的な技術は、たった1年や2年現場を離れたからといって、すべてゼロになるようなものではありません。自転車の乗り方を忘れないのと同じように、復帰後に少しずつリハビリの期間を設ければ、必ず元の感覚を取り戻すことができます。
最近では、復帰してすぐは体力の負担が少ない計量や包装の作業から担当し、少しずつメインの生地作りや焼き場に戻っていくという工夫を取り入れる職場も増えています。過度に不安がらず、まずは安心して休める準備を進めることが大切です。

パティシエが知っておくべき「産休・育休制度」の基本

お休みに入る前の不安をなくすためには、国が定めている制度の仕組みを正しく知ることが第一歩です。

パティシエの産休育休制度

産前産後休業(産休):雇用形態に関わらず取得できる権利

「産休」と呼ばれる産前産後休業は、労働基準法という法律で守られた、働く女性全員が取得できる権利です。正社員はもちろん、アルバイトやパート、契約社員であっても、条件を満たせば必ず取得することができます。
産休は大きく二つに分かれます。一つは「産前休業」で、出産予定日の6週間前(双子以上の場合は14週間前)から、本人が希望すれば休むことができます。パティシエの仕事は一日中立ちっぱなしの時間が長く、足のむくみや腰痛が出やすいうえに、重いボウルを抱えるなど体への負担が大きいため、お腹が大きくなってくるこの時期には、無理をせずにしっかりと産前休業に入ることが推奨されます。
もう一つは「産後休業」で、出産した翌日から8週間はお休みしなければならないと法律で決められています。産後の女性の体は、交通事故に遭ったのと同じくらい大きなダメージを受けていると言われます。医師の許可があれば産後6週間で復帰することも可能ですが、体力を激しく使う製菓の現場へ急いで戻ることは、母体の回復を遅らせる原因にもなるため、しっかりと休むことが重要です。

育児休業(育休):長く働き続けるための要件

産休が終わった後、子どもが1歳の誕生日を迎える前日までお休みできる制度が「育休(育児休業)」です。保育園に入れないなどの特別な事情があれば、申請によって最長で子どもが2歳になるまで延長することができます。
ここで気をつけておきたいのは、育休を取得するためにはいくつかの条件があることです。お店のルール(労使協定)によっては、「同じ職場で1年以上働き続けていること」などが条件になる場合があります。
そのため、「今のお店ではお休みを取りづらいから、妊娠がわかってから休みを取りやすそうなお店に転職しよう」と考えて急いで動いたとしても、新しいお店で働き始めてから1年が経っていないと、育休を取れない可能性があります。将来的に結婚や出産を考えているのであれば、日頃から「長く働き続けられる、ルールが整っている職場」を選んでおくことが大切です。

妊娠中の体を守る法律:重い荷物や高温の場所での作業に関する注意点

パティシエの職場には、お腹の赤ちゃんや母体に負担をかける可能性のある作業がたくさんあります。労働基準法では、妊娠中の女性に対して危険な業務や体に大きな負担がかかる業務を行わせてはいけないと定めています。
たとえば、「25キロもある小麦粉や砂糖の大袋を倉庫から運ぶ」といった重労働は、この法律で制限される作業に該当する可能性が高く、会社が強要することは法令違反にあたります。また、熱気がこもるオーブンの前での長時間の焼き上げ作業や、カスタードクリームを銅鍋で大量に炊き上げる作業なども、「高温の場所での業務」として体に悪影響を及ぼす可能性があります。
妊娠がわかったら、「重いものを持つ作業や、熱いオーブンの前での長時間の作業は外してほしい」「マイナス20度の大きな冷凍庫での検品作業は代わってほしい」と、自分の体を守るためにしっかりとお店に相談することが必要です。体調や医師の指示を具体的に伝え、お店の人員配置や業務状況も踏まえながら、安全に続けられる担当作業を一緒に検討しましょう。

産休・育休中の給付金と、お店側に必要となる対応

産休や育休を取るにあたって、「自分が休んでいる間、お店にどのような負担がかかるのだろう」と気になる方もいるでしょう。
産休中の「出産手当金」は加入している健康保険組合から支給され、育休中の「育児休業給付金」は雇用保険から支給される仕組みです。そのため、休業中の給付金をお店が給与としてそのまま支払い続ける仕組みではありません。
さらに、お休みしている期間中の社会保険料(健康保険料や厚生年金保険料)は、あなたが毎月支払う分だけでなく、会社が支払う負担分も含めて「全額免除」となります。
一方で、お店側には、代替スタッフの採用や教育、既存スタッフの残業、人員配置やシフトの見直しなど、運営上の負担が生じる場合があります。とくに少人数の店舗では影響が大きくなりやすいため、できる範囲で早めに相談し、余裕を持って引き継ぎを進めることが、本人と職場の双方にとって大切です。

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妊娠発覚から職場復帰までの実務スケジュール

体力的な負担が大きい製菓現場で、スムーズにお休みに入り、他のスタッフの負担を減らすための具体的な流れを整理します。

妊娠初期:体調の変化と早めの報告の重要性

妊娠初期(2ヶ月〜4ヶ月頃)は、つわりなどで体調がとても不安定になりやすい時期です。一般的なデスクワークの仕事であれば「安定期に入るまでは職場には言わない」という人も多いですが、パティシエの場合は少し事情が違います。
厨房の中には、バターやバニラエッセンス、焼き上がったスポンジの甘い匂いなどが常に充満しています。この「匂いづわり」がパティシエにとっては非常に辛く、立ち仕事で体力も使うため、無理をして厨房で倒れてしまっては大変です。赤ちゃんの心拍が確認できたタイミングなど、できるだけ早い段階でシェフや責任者に報告することをおすすめします。
そのうえで、「つわりがひどい朝の時間は少しシフトを遅らせてもらえないか」「重い材料の計量は他の人に代わってもらえないか」など、安全に働くための相談をしましょう。早めに伝えることで、お店側も余裕を持ってこれからの人員配置を考えることができます。

妊娠中期〜後期:持ち場の変更と安全な働き方

安定期に入り、お腹が少しずつ大きくなってくる妊娠中期から後期にかけては、具体的な作業内容(持ち場)の変更をお願いしていく時期です。
お腹が張ってきたり、足がむくみやすくなったりするため、これまで通りに厨房の中を小走りで動き回ることは難しくなります。たとえば、大きなミキサーのボウルで重い生地を混ぜる作業や、高い場所にある材料を取る作業は他のスタッフにお願いし、代わりに座ってできる作業を中心に担当させてもらうよう提案してみましょう。
マジパン細工の細かなパーツ作りや、焼き菓子の袋詰め、リボン掛け、あるいは食材の発注書のチェックや在庫管理などの作業です。「この作業ならお腹に負担をかけずに安全にできる」という代わりの仕事を自分から提案することで、お店への貢献を続けながら体を守ることができます。

産休直前:文章での引き継ぎと後輩への共有

いよいよ産休に入る直前の時期は、自分の仕事を他のスタッフにしっかりと引き継ぐことが一番の仕事になります。パティシエの仕事は、「この生地はこのくらいの硬さになったらミキサーを止める」「このオーブンは右奥の温度が高いから、途中で天板の向きを変える」といった、言葉にしにくい職人の感覚がたくさん詰まっています。
こうした感覚的な部分を、できるだけ「文章にまとめる」「マニュアルにする」ことが重要です。「何分混ぜる」「温度を何度にする」「絞り袋の口金のサイズはどれを使う」と具体的な数字でノートに残しておけば、あなたが休んでいる間も、後輩や他のスタッフが同じ品質でお菓子を作ることができます。丁寧に引き継ぎをしておくことで、お店からの信頼も高まり、復帰したときに温かく迎えてもらいやすくなります。

育休中の過ごし方と職場への連絡

無事に出産を終え、育休に入った後も、お店の人たちと時々連絡をとっておくことをおすすめします。「今、保育園を探しているところです」「来年の春には復帰できそうです」といった状況を定期的に伝えることで、お店側もあなたの戻ってくるタイミングに合わせて準備を進めることができます。
また、クリスマスの忙しい時期が終わった後などに、「今年のバレンタインの新作はどんなケーキですか?」と少しお店の状況を聞いてみるのも良いでしょう。ずっと連絡を取らないままだと、いざ復帰するときに「お店の雰囲気が変わっていたらどうしよう」「新しいスタッフばかりで居づらいかもしれない」と不安になりがちですが、少しでもつながりを持っておくことで、職場に戻るハードルをぐっと下げることができます。

【資金計画】産休・育休中にもらえるお金の完全ガイド

産休や育休を取ることをためらう大きな理由の一つに、「休んでいる間はお給料がもらえず、生活が苦しくなるのでは」という不安があります。ここでは、利用できる制度ともらえるお金の仕組みをわかりやすく解説します。

出産費用をサポートする出産育児一時金

出産には病院代などまとまったお金がかかりますが、その負担を大きく減らしてくれるのが「出産育児一時金」です。これは、あなたが加入している健康保険から、子ども一人につき原則として「50万円」がもらえる制度です。
「直接支払制度」という仕組みを利用すれば、この50万円が健康保険から病院に直接支払われます。そのため、退院するときに窓口で支払うのは、出産費用が50万円を超えた分の金額だけで済みます。多額の現金を事前に自分で用意する必要がなくなるため、安心して出産に臨むことができます。

産休中の収入を支える出産手当金の仕組み

産休中(産前産後休業中)は、多くの場合、お店からの給料は支払われません。その代わりに、加入している健康保険組合から「出産手当金」が支給されます。
もらえる金額の計算方法は、「直近12ヶ月の標準報酬月額の平均を日額に換算した額の3分の2(約67%)」です。これが、実際にお休みをした日数分(産前42日、産後56日など)もらえます。自分が普段もらっているお給料の約3分の2が手当としてもらえると考えておけば、産休中の生活費のイメージがつきやすくなります。

育休中の生活を支える育児休業給付金の具体的な計算

「育休中、お店を休んでいる間のお金って、もしかして会社(お店)が払ってくれているの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。実は「育休中のお金は会社から支払われている」と勘違いされがちですが、実際はまったく違います。
育休中に支給される「育児休業給付金」は、会社からではなく、あなたが加入している「雇用保険」から支払われます。一定の受給要件を満たす必要がありますが、休業中の給付金をお店が給与として支払う仕組みではありません。一方で、お店側では人員配置や代替スタッフの確保などの対応が必要になる場合があります。
たとえば、毎月の総支給額(残業代なども含めた額面)が25万円のパティシエの場合で計算してみましょう。
育休に入ってから最初の6ヶ月間は、お給料の67%が支給されます。
25万円 × 67% = 月額 約16万7,500円。これが2ヶ月ごとに指定の口座に振り込まれます。
そして、6ヶ月を過ぎてから子どもが1歳になる前日までは、支給額が50%になります。
25万円 × 50% = 月額 12万5,000円
保育園に入れず育休を延長した場合も、この50%の金額が最長で子どもが2歳になるまで支給され続けます。お休みをしていても、これだけの金額がしっかりとサポートされるのです。

社会保険料の全額免除:実質の手取りはどうなる?

「お給料が25万円から16万円に減ってしまうと、生活が苦しくなるのでは?」と不安に思うかもしれません。しかし、ここで知っておきたい非常に大きなメリットがあります。それは、産休・育休中は「社会保険料(健康保険料や厚生年金保険料)が全額免除される」という点です。
普段、額面25万円のお給料からは、税金や社会保険料が約5万円ほど引かれ、実際の手取りは20万円程度になります。しかし、給付金には税金がかからず、社会保険料も無料になるため、もらえる約16万7,500円はそのまま全額手取りとして使うことができます。
普段の手取り20万円と比べると、お休みしていても「実質的な手取り収入の約80%以上」が確保されている計算になります。通勤にかかる交通費や、毎日の外食ランチ代、仕事用の靴や服の買い替え費用もかからなくなることを考えれば、家計への負担は予想以上に小さく抑えられることが分かります。

復帰後の両立課題と実践的な解決策

お休みが明けて職場に戻ったとき、多くのママパティシエが直面するスケジュールの壁と、その乗り越え方をお伝えします。

保育施設の送迎と、早朝からの仕込みスケジュールのすり合わせ

パティシエが職場復帰を果たしたときに一番の壁となるのが、「時間のやりくり」です。製菓の現場は朝が早く、午前6時や7時から生地の仕込みが始まることも珍しくありません。しかし、多くの認可保育園は朝7時半ごろからしか子どもを預かってくれません。この「保育園の開く時間」と「お店の仕込みが始まる時間」のズレをどう解決するかが鍵となります。
まずは、家族との分担を話し合うことが必須です。「朝の仕込みが早い日は、夫(配偶者)に保育園の送りを担当してもらう」といったルールを決めましょう。また、自治体が運営しているファミリーサポート(地域の子育て支援)を利用して、朝の少しの時間だけ子どもを見てもらう方法もあります。そのうえで、お店に対して「朝の送迎がある日は、9時出勤のシフトに固定してもらえないか」と相談し、お互いが納得できるスケジュールを見つけていくことが大切です。

時短勤務制度の活用と、引き継ぎ時の配慮

子どもが小さいうちは、フルタイムではなく、1日6時間などの短い時間で働く「時短勤務(短時間労働制度)」を利用するケースが多くなります。
パティシエの仕事は、ケーキを焼き上げたり、クリームを塗ったりと、作業の途中で急に手を止めることが難しい場面がたくさんあります。そのため、自分の退勤時間が来たからといって、無言で帰ってしまうと、他のスタッフに負担がかかってしまいます。
時短勤務をスムーズに行うためには、働く側とお店側の両方の歩み寄りが不可欠です。働く側は、「今日はムースの仕込みまで終わっています」「このスポンジ生地はあと10分で焼き上がります」と、引き継ぐ内容を事前に整理して、簡潔に他のスタッフに伝えることが大切です。一方でお店側も、時短勤務のスタッフが帰りやすいように、あらかじめ作業の区切りを計算して仕事の割り振りを整えたり、引き継ぎのルールを決めておくなどの配慮が求められます。

チーム全体で支え合うためのコミュニケーション

少人数のお店で、子育てと仕事を両立させるためには、職場の人間関係と日々のコミュニケーションが何よりも重要です。
保育園に入りたての頃は「保育園の洗礼」と呼ばれ、子どもが急に熱を出して呼び出しがあり、早退しなければならない日が必ずやってきます。そうしたときに、「ご迷惑をおかけしてすみません、カバーしていただきありがとうございます」と感謝の気持ちをしっかりと周りに伝えること。
…そして、自分が出勤している時間帯には、他のスタッフが少しでもスムーズに仕事を進められるように、道具の洗い物や片付けを率先して行ったり、周りの作業を手伝ったりと、お互いに助け合う姿勢を見せることが大切です。日々の小さな積み重ねが、「この人がいると助かるから、休みの日はお互い様でカバーしてあげよう」という温かいチームの絆を作っていきます。

制度利用の際に気をつけたいこと

産休育休の注意点

事前に確認しておくべき書類や準備事項

子どもを迎え、休業制度を最大限活かすために必要な準備物です。

  • 健康保険証や母子手帳の準備:病院や役所での手続きで必要になります。産休に入る前に会社に健康保険証の番号などを確認し、手続きに必要な書類を早めに準備しましょう。
  • 雇用保険被保険者証や給与明細のコピー:育児休業給付金を申請するには、雇用保険の加入期間などの受給要件をクリアしている必要があります。
  • 勤務先の独自制度をチェック:大手企業や有名ホテル系列のパティスリーでは、独自の育児支援や短時間勤務制度が用意されている場合もあります。就業規則をあらかじめ確認しておきましょう。

復帰時期のタイミングの重要性

  • 保育園の空き状況:育休を1年間取得しても、復帰しようとする月に保育園がいっぱいで入れないケースもあります。保育園の申し込みは自治体によって受付時期が決まっているため、早めの情報収集が不可欠です。
  • 復帰後の職場ポジションや働き方:復帰時期の目処が立たないと、お店側も人員配置やシフト計画を決められません。入園の目処が立ったら、速やかにお店に報告・相談しましょう。

復帰後の仕事と育児をスムーズにするポイント

  • 仕事の分担やスケジュール調整:復帰してすぐに以前と全く同じフルタイムで動くのは容易なことではありません。最初は時短勤務などを活用し、徐々に仕事のリズムに慣れていくのがおすすめです。
  • ワークライフバランスを長く続けるコツ:育児と仕事の両立で疲れたときは、一人で抱え込まず周囲に頼ることをためらわないでください。パートナーや家族のサポートだけでなく、民間の育児サービスなどを利用して自分の時間を確保することも大切です。

休業を機に考える、パティシエとしての多様な働き方

どうしても子育てと今の働き方の両立が難しいと感じたとき、パティシエの仕事そのものを辞めてしまうのは非常にもったいないことです。働き方を見直すための、いくつかの選択肢をご紹介します。

身体的な負担を抑えるため、担当業務を職場と相談する

子育てと仕事の両立にあたり、身体的な負担が大きい製造業務をこれまでと同じように続けることが難しい場合は、担当する仕事の割合を調整できないか、店長やシェフに相談してみましょう。
店舗によっては、販売や接客、商品の包装、予約受付、発注や在庫確認、焼き菓子の袋詰め、計量や仕上げなど、身体的な負担を比較的抑えやすい業務を組み合わせられる場合があります。また、これまでの経験を活かし、新人や後輩への作業説明や技術面のサポートを担当する方法もあります。
ただし、販売も長時間の立ち仕事になるなど、業務によって負担の種類は異なります。少人数の店舗では希望する仕事だけを担当することが難しい場合もあるため、本人の体調と店舗の人員体制の双方を確認しながら、無理なく続けられる仕事内容や勤務時間を丁寧にすり合わせることが大切です。

働く先を変える場合の選択肢(製菓メーカーやホテルなど)

今の職場が少人数すぎて、どうしても時短勤務などの工夫を取り入れるのが難しい場合は、パティシエの技術を活かしたまま「会社を変える(転職する)」という選択肢を考えるのも一つの方法です。
経験を活かせる働きやすい職場として人気があるのは、ルールがしっかりと整っている「製菓・食品メーカーの研究開発部門」や、土日祝日が休みになることが多い「カレンダー通りに稼働する製菓工場」、あるいはスタッフの人数が多く、シフトの融通が利きやすい「ホテル内のペストリー部門」などです。
こうした職場では、産休や育休を取ったスタッフが復帰して働くことが当たり前の風景になっていることが多く、子育てと仕事の両立がしやすい環境が整っています。お菓子作りの技術を捨てるのではなく、自分の大切な経験と技術がそのまま活かせる新しい場所を探すことも、長く働き続けるための前向きな選択です。

まとめとQ&A

最後に、パティシエの皆さんからよく寄せられる産休・育休に関する疑問にお答えします。

Q1. オーブン作業などが体力的に厳しいため、早めに休むことはできますか?
産前休業は原則として出産予定日の6週間前からですが、もしつわりがひどかったり、お腹の張りが強くて医師から「無理をしないように」と指示が出た場合は、その旨をお店に伝えてお休みや作業の負担を軽くしてもらうことができます。「母性健康管理指導事項連絡カード」という書類を医師に書いてもらい、お店に提出するとスムーズです。無理をして働き続けることは絶対に避け、早めにかかりつけの医師に相談してください。
Q2. 土日や祝日の出勤と子育てをどう両立すればよいですか?
洋菓子店は土日や祝日が一番忙しいため、これはパティシエにとって非常に悩ましい問題です。まずは今のお店に「土日のどちらかだけでもお休みにしてもらえないか」「土日は早番のシフトだけにしてもらえないか」と相談してみてください。それでも調整が難しい場合は、最初から土日が休みになりやすい「製菓メーカーの研究開発」や「カレンダー通りに動く製菓工場」などへの転職を検討することも、解決に向けた有効な手段になります。
Q3. 自分が抜けることでお店が回らなくなるのが心配です。
「自分が休んだら他のスタッフに迷惑がかかる」と責任を感じる気持ちはとてもよくわかります。しかし、産休や育休は働く人の正当な権利です。人が休んだときの代わりのスタッフを見つけたり、シフトを調整したりするのは、お店の責任者や店長の仕事です。あなたが一番にすべきことは、自分の体と赤ちゃんを大切にし、お休みに向けて自分の仕事をしっかりとマニュアルにして後輩に引き継ぐことです。それこそが、お店に対する一番の恩返しになります。

結婚や出産といったライフイベントを迎えたからといって、大好きなパティシエの仕事を諦める必要はありません。いまは製菓業界全体で働き方を見直す動きが進んでおり、工夫をしながら活躍しているママパティシエはたくさんいます。
もらえるお金の仕組みを正しく知ることで不安をなくし、今の職場でできる工夫を一つずつ実践していくこと。そして、もし今の環境で続けることが難しければ、技術を活かせる別の会社や違う持ち場を探してみること。
あなたがこれまで粉まみれになって培ってきたお菓子作りの技術と経験は、決して無駄にはならない大切な宝物です。正しい知識を味方につけて、自分らしいパティシエとしての働き方をぜひ見つけてください。

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